36節・4P
僕は神戸に戻ってきても、暫くは井上の事を忘れることが出来なかった。夏休みから冬休みに変わり、まことが神戸の僕の家に遊びに来たとき、僕は真っ先に井上の事を質問した。
「あれから、どうなった?」
「うん、今では元気に遊び回ってるよ」
それを聞いた僕は胸をなで下ろした。そして、楽しかった井上との思い出が走馬燈のように蘇ってきた。
そして僕は、ずっと腑に落ちない疑問を4ヶ月間持ち続けていた。それはプールでの潜りの勝負だった。あのときどうして、まことが負けたのか。たまたま体調が悪かっただけなのか、ずっと疑問に思っていたのだ。それに0.5秒差で勝つなんて、おかしいと思ったいた。
「あれは、のりが言い出したんだ」
「のりが?」
「しゅんが井上の事を一番愛しているように思えたし、もうすぐ神戸に帰るので、最後にいい思い出を作らせてあげようと提案して、僕にわざと負けるように言ってきたんだ」
それを聞いたとき、僕は後ろから頭を叩かれるような衝撃を感じだ。負けてくれたことにも気づいてなかったし、僕にそんなに気を遣ってくれていた事にも気づいてなかったのだ。なんて鈍感だったのだと思わされた。
でもお陰で井上をおんぶすることが出来、僕は幸せな気持ちになれた。そして負けてくれたまことにも、のりにも、けんにも感謝した。
このホムペを友達に教える。パソコン版のアドレスを自分に送る
メール(感想待ってます)