15節・8P


 ワンルームマンションに戻り、玄関を開けると、亜紀子が帰っていたが、泣きたい気持ちを抑えていた思いが、一気に吹き出し、うずくまり号泣してしまった。

「どうして私の人生は、こんなに辛いの。もっと迎え入れてくれてもいいのに、何であんな態度で応対するの」

 千絵はワンワン鳴いた。しかし亜紀子は冷めた目で見ていた。

「私は、千絵に元気出して貰おうと、いろいろ努力してきたわ。でもどうしていつま、そんなに泣いてばかりいるの。私の身にもなってよ」

 そう言うと亜紀子も泣き出した。千絵の辛さは十分判っていたから悲しかったのだ。そう言われて、千絵はハッと目が覚めた。今まで自分が泣きたいから泣いていた。しかし亜紀子の気持ちを考えてなかったのだ。そして涙を拭いて、千絵は亜紀子に言った。

「もう後藤家に対しても、恩を返したし、パパが居なくても、私生きていけるわ。いつまでもめそめそしてないで、これからは1人で生きていくわ」

 千絵は泣くのをやめ、しっかりした口調で言った。そして更に続けた。

「これからは私もバイトする。いつまでも亜紀子に甘えてられないから。そして将来のために勉強もする」

 亜紀子は少しキツい事を言ったかと思ったが、千絵が元気になったので、嬉しかった。

「そうよ人生、いくらでもやり直しはきくのよ。若いんだし、人生これからよ」

「私、今まで甘えていたのよ。でも、これからは今までと違う私で生きていくから応援してね」

 千絵は亜紀子の言葉に、すごく勇気を貰った。


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