15節・6P
夕食は部屋にあるカップラーメンを食べた。そしてお金の使い道が話題に上った。しかし千絵の口からは意外な言葉が出た。
「お金の使い方、考えた?」
千絵は遠慮して、なかなか答えようとしなかった。
「あんたが全部、使っていいのよ」
その言葉に促されて、千絵はボソッと言った。しかしあまりの意外な言葉に亜紀子は驚いた。
「それなら、このお金、後藤さんの所に持っていく」
「何言ってるの?」
亜紀子は腰を抜かさんばかりに驚いた。
「会社潰れそうだから、少しでもたしになったらいいと思うから」
「今までひどい事とされてきたのよ。そんな事したら無駄金よ」
「今まで、あそこの家にお世話になったから」
「でも1億はあげ過ぎよ」
「ひどい事されたけど、あそこの人たちが居なかったら、私どうなっていたか判らない。ママが死んで、家を追い出されて、今この世にいないかもしれないのよ」
千絵は泣きながら言った。そして亜紀子は自分の欲深さを反省した。
「あそこの家には、ほんとうに、お世話になったのよ」
亜紀子の目からも涙が出ていて、それ以上言う事が出来なかった。