14節・7P


 ホームで肩を落として立っていると、上下2本の電車が同時に入ってきた。千絵は電車に乗り込み、ドアの近くでもたれて、ボーと外を見ていた。パパに会えると思ったのに、ショックは大きかった。どうしてあの家、出たんだろう。あそこに本当にパパが住んでいたのかな。でも亜紀子が住所を控えてくれたし間違えてないと思う。

 ドアが閉まったとき、反対の列車のドア付近にも男の人が立っているのが見えた。千絵はボーと、その男の人を見ていた。

「パパに似ている」

 そう思った瞬間、我に返った。そのとき電車は走り出した。千絵の目は見開き、焦ったが、既に遅かった。お互いの列車は、反対方向に走っていった。暫くパパを目で追い、動く電車の中を反対に歩いた。

「あれはパパだ。間違いなかったんだ」

 しかしパパは、どこか寂しそうだった。「パパは借金がまだ返せず、あの家も追い出されたんだ。パパが幸せになってくれないと、私も幸せになれないじゃないの」

 また悲しくなってきた。


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