14節・3P
亜紀子は千絵の肩に手を回し、2人でふらふら外を歩いていた。そのとき、千絵の足が止まり、呆然と立ちつくし、遠くを見つめた。それに気づいた亜紀子が不思議そうに立ち止まった。
「どうしたの?」
亜紀子は千絵の顔を覗き込んだ。
「今のパパだわ」
「えー!」
「絶対パパだ」
そう言うと千絵は顔面蒼白になり突っ走り、亜紀子が気づくと追いつけない距離にいて、人混みの中に消えた。亜紀子は後を追うが、見失っていた。
「幸せが、こんなに早くやってくるとは意外だった」
1人取り残された亜紀子も、千絵が本当にパパに会える事を願った。自分の事のように、再会する事を喜んでいた。辺りを探すが、千絵の姿はない。
その頃、千絵は呆然と立ちつくしていた。辺りを行き交う人は多いが、その中に1人寂しく立っていた。悲しそうな顔で、手にはペンダントが握られていた。パパを見失っていたのだ。
「もしかしたら違っていたのかもしれない」
自分の中で葛藤していた。そんなときに亜紀子からの携帯が鳴り、我に返った。
「今どこにいるの?」
「あー」
亜紀子は千絵が道路でうずくまっている姿を見つけた。様子からパパとは会えなかった事がすぐに判った。亜紀子は、急いでかけより、千絵を強く抱きしめた。今までの千絵の苦しさを知っているだけに、自分の事のように心配していた。
「大丈夫よ、いつか会えるわ」
更に千絵を強く抱きしめ、一緒に泣いた。