13節・2P
千絵と亜紀子が楽しく話しているとき、不運にも千絵のパパは後藤家を訪問していた。それにはママが対応した。ママは一目でパパだと判ったが、突然の訪問に驚いた。しかし知っての通り、千絵は出た後だった。
「ご無沙汰してます。今まで千絵をほったらかしにして、申し訳ありませんでした」
そう言うと深々とお辞儀をした。
「あ、あっ」
ママは突然の訪問と、千絵が出た後の残念さで言葉が出ない。
「長い事、連絡もせずに、千絵を育てて頂いて有難うございます」
また、深くお辞儀をした。
「あの千絵ちゃんは、少し前に出て行ったんですよ」
ママは、すごく残念そうに言った。そしてママは事情を全て説明した。
「もし何かあったら、ここに連絡下さい」
自分の連絡先をメモに書いて、渡した。
「でも事情が事情だけに千絵ちゃんは戻ってこないと思うわ。もう少し早ければよかったのにね。丁度行き違いになってしまって残念です」
ママは残念そうに言うと、パパはがっくり肩を落として帰って行った。
ママが部屋に戻ると、パパ、彩子,松本は揃って食事をしていた。
「誰だったの?」
パパが聞いた。
「千絵ちゃんのパパよ」
その答えに3人は顔を合わせて驚いた。
「何で今頃来るんだ。もっと早く来るべきだったんだよ」
そう言ってパパは怒りを表した。
「後1ヶ月早かったら良かったのにね」
ママの言葉に、彩子と松本は黙って食事をしていた。千絵が出て行った後は、松本も一緒に暮らし、パパの仕事を手伝っていた。
千絵の結婚スピーチは、妬みのようにしか解釈されず、親族内で避難の的となった。
「恩を仇で返すのか!」
と言った扱いとなった。
千絵はパパと1ヶ月の差ですれ違いとなり、千絵の気持ちは親族には判って貰えず、この家に戻ってこれるような状況ではなかった。