10節・9P
千絵はベットに寝ころび、松本のことを考えていた。
「今頃、2人は仲良くしてるのよね」
あまりにも長い時間、2人が一緒にいるので、怒りが増長していった。
「千絵が帰って来たら、授業料の事問いつめてやる」
そう意気込んでいた。しかし彼女の方から、部屋に入って来た。
「コンコン」
ドアをノックする音がした。ドアを開くなり、彩子が泣きながら入って来た。
「千絵、ご免なさい」
千絵は上半身を起こした。あまりの意外な展開に驚いた。今まで仲良くしているのだと思っていたが、泣いて入って来たのに驚き、千絵の怒りは薄れ、問いつめる事を忘れていた。
「どうしたの?」
「私、松本さんと喧嘩してしまったの」
「えっ!」
と言いながら、千絵は心の中で喜んでいた。もしかしたらチャンスが戻ってきたのかもしれない。もともと松本は彩子より、千絵の方が好きだと言っていたのだから、当然なことだ。千絵は心配そうな顔をしていたが、心の中では喜んでいた。しかし彩子の口からは以外な言葉が飛び出した。
「今度、松本さんを遊園地に誘うから、あなた仲を取り持って欲しいの」
「えー!嫌よ」
彩子の厚かましさに大きい声が出てしまった。
「松本さんとデートがしたいんでしょ」
「したいけど、そう言う形のデートじゃないでしょ」
「頼んだわよ」
そう言うと、勢いよく部屋から出て行った。そして問いつめる事も忘れ、また心配事が増えた。そして、これは千絵にとって、もっとも辛い役回りとなったのは言うまでもない。
彩子は以前の彩子ではなかった。どんどん厚かましくなり、鬼のようになっていくような感じがした。