10節・8P


 ある日の朝、千絵は眠い目をこすり、パジャマのままダイニングに降りていくと、パパとママはすでにパンを食べていた。この日、更なるショックな出来事が起こった。

「おはよう」

「昨日、彩子、帰ってきてないのよ。どこに行ったか知らない?」

「知らない」

 そう言いながらも、千絵は内心、冷静ではなかった。きっと彼の家に泊まったんだ。

「もう私との関係は、修復できない状態になっているんだ」

 そう思うと、より一層暗くなった。そんな千絵を気にすることなく、ママは忙しく動き回り、朝の支度をした。

「パン食べたら、悪いけど彩子の分のゴミも持ってきてくれる」

「はい」

 千絵は眠さと、ショックで、食が進まなかった。

「早く食べなさい。学校遅れるわよ」

「はい」

 眠い目で時計を一瞥して、我に返った。

「あ、急がないと」

 手に持っているパンを口に加え、そのまま部屋に入りと、急いで着替えた。ゴミ箱を持ち、部屋を出ると、

「あ、そうだ彩子の分のゴミも持っていかないと」

 彩子の部屋を空け、ゴミ箱を持って部屋を出た。

「急がないと」

 あまり慌てていたので、つまずいて、ゴミ箱をひっくり返してしまった。

「あー、しまった」

 散らかったゴミを急いでゴミ箱の中に入れると、何かが目に入り、動きが止まった。

「あれ!」

 ある物に目がとまった。

「これ、授業料を入れていた封筒」

 不思議なことに封筒は2枚あった。一瞬、疑問に思ったが、我に返った。

「あー、急がないと」

 急いで階段を下り、玄関の前にゴミ箱を2個置くと。

「ママ、ここに置いとく」

「はい、行ってらっしゃい」

「行ってきます」

 そう言うと、急いで出て行った。

 登校中、松本と彩子が昨日、何していたか考えながら歩いていると、暗くなった。暗くなるばかりなので、もう考えるのはやめにした。

 そして次ぎに脳裏をよぎったのは、彩子のゴミ箱にあった2枚の封筒。

「授業料、彩子が隠したの?まさか?」

 彩子を疑いたくなかったが、そう疑わずにはいれない。

「でも封筒が2枚出たと言うことは、私の分のじゃない?」

「考えてみると、あの子が120万も持っているわけないし。でも何で隠したの?」

「もしかして松本さんを奪うために、しくんだ事なの。私が断れきれない状況にするために、しくんだんじゃない?」

 校門まで続く1本道を歩き、教室に着くまで、さっきの事で頭がいっぱいだった。彼女を疑りたくないと言う気持ちと、疑問が晴れないと言う板挟みで、悩み、すっきりしないまま教室に着いた。

「彩子が来たら、問いつめてやる!」

 考えたあげく答えが見つからないので、そこに解決策が収まった。教室につくと彼女を捜した。辺りをキョロキョロするが、まだ来ていないみたいだ。

「まだ来てないようね。来たら問いつめてやる」

 少し切れていた。そのとき授業のベルが鳴った。授業のベルが鳴っても、彩子は姿を見せなかった。

「あれ遅刻する気!」

 千絵は急に不安になってきた。

「いつまで2人で仲良くすれば気がすむのよ。授業くらい来なさいよ」

 少し切れていたが、その日1日待ったが彩子は現れなかった。そのことで仲良くしている2人を想像し、居たたまれない気持ちになった。


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