9節・4P


 千絵はずっとうなされ、翌日、彩子は1人で登校した。流石に千絵がうなされているのを見て、責任を感じ、1日暗かった。

「ちょっとやりすぎたかな」

 授業を終え、校舎を出ると、彩子の表情は曇もり、校門で待っている松本には眼もくれず、うつむいていた。松本は、校門の前から、彩子の様子がおかしいことに気になった。松本の前を素通りする彩子の様子を見て、思わず声をかけた。

「どうしたの?」

「ごめんなさい。今日、千絵が風邪を引いちゃったの」

「それは大変だ。お見舞いに行かせて」

「風邪がうつると大変だから。今日は失礼します」

 そう言うと彩子は走って帰った。彩子は急いで家に帰り、一目散に千絵の部屋に向かい、勢いよくドアを開けた。ベットの横にはママが立っていた。

「もう大丈夫よ。熱はだいぶ下がったわ」

 千絵も上半身を起こし、笑顔で答えた。

「あー、よかった」

 彩子は泣きそうだった。

「どれだけ心配したか」

「ごめんなさい、心配掛けて」

「でも明日も学校は無理ね」

 ママが横から口を出した。

「大丈夫、私がちゃんとノートとっとくから」

「こんなとき一緒に暮らしていると助かるね」

 そう言うと2人は仲良く、笑った。

「まだ風邪治ってないから、体冷やさないようにね」

「はい」

 そう言うと、ママは出て行った。

「松本さんの事は気にしないで」

「あー、どうなったの?」

 千絵は今まで忘れていたのに、急に思い出して心配になってきた。

「今日、校門であったけど、千絵が風邪ひいた事、伝えといたから」

「あ、ありがとう。私、うなされていて、電話も出来なかったわ」

「その後、千絵のことが心配になって、走って帰ってきたの」

「ありがとう」

 彩子の優しさに、千絵は嬉しかった。

「血は繋がってないけど、やっぱり姉妹なんだ」

 心の中で、そう思い、幸せを感じた。


前ページ
次ページ

目次
粗筋(トップページ)

パソコン・トップページ