8節・8P
放課後、千絵と彩子は人混みに混じって、話ししながら校舎から出てきた。校門には、すでに松本が待っていた。
「どの人よ?」
「ほら、あそこに立っている人」
千絵は彩子が少し迷惑だった。
「男前じゃない?」
2人はもみ合いながら松本の前まで来た。
「紹介します。居候させて貰っている家の彩子です。私と同じ年なんです」
「初めまして、彩子と言います」
彩子は男前を前に少し緊張し、普段と違って大人しかった。
「初めまして、松本と言います」
そう言うとお互いに笑顔で挨拶をした。しかし千絵だけは迷惑そうな顔をしていた。
「彩子さんも綺麗だね」
「わー、恥ずかしい」
彩子は大きく喜んだ。その横で千絵は、社交辞令を本当に受け取ってと、馬鹿にした顔をしていた。松本は校門を抜けると、千絵と彩子はその後ろと付いて歩いていて、もめていた。
「もういいでしょ、早く帰ってよ」
「もうちょっと、一緒にいさせて」
2人はもめながら、3人でいつもの喫茶店に入った。千絵と彩子は隣に座り、その前に松本が座った。
「何で、あんたが一緒にいるの?」
「こんないい男とは思わなかったから」
松本の前で、ひそひそ話をしていた。そこに松本も話しに入って来た。
「2人とも顔がよく似ているね。姉妹みたいで、仲良さそうだけど喧嘩するの」
松本には2人が仲良さそうにしているように映った。
「喧嘩もするけど、普段は仲いいんです」
彩子は千絵が喋る前に、目を輝かせて、嬉しそうに答えた。
「今度、家に遊びに来ませんか?ご馳走しますよ」
彩子は、すぐに続けて喋った。
「やめてよ?」
「どうして、あなたを応援してるのよ」
「そうは見えないけどな」
千絵は、ぼそりと言った。
「楽しそうで、いいね」
「えー!」
千絵は苦笑いした。
「女の子の姉妹って羨ましいな。男には無い仲良さを感じるよ。彩子さんも、またよければ一緒に」
「えー!」
千絵はビックリした。
「松本さんも気を遣ってくれているのよ」
千絵の驚いた顔を見て、彩子が言った。その言葉に、千絵は安心した。
松本はコーヒーを飲みながら、2人の会話をほほえましく見ていた。
喫茶店を出ると、松本と別れた。
「失礼します」
彩子は嬉しそうに、頭を下げた。その横で千絵は苦虫を噛み潰したよう顔をしていた。別れ惜しそうにしている千絵の腕を彩子は強引に組んで、駅に引っ張っていった。千絵は引きずられるように歩を進めた。
「いい男だったね」
「もう、いい加減にしてよ」
千絵は怒って、腕を振り払おうとした。
「でも安心して、私のタイプじゃないから」
その言葉に、千絵の怒りは収まり、抵抗をとき、一緒に駅に向かった。