8節・7P
玄関のドアを開けると、リビングで彩子はヨーグルトを食べていた。彩子がチラッと、千絵の方を見た。
「千絵,ヨーグルト食べる?」
「うん」
千絵が玄関で靴を脱いでソファーに座ると、彩子がヨーグルトとスプーンを持ってきてくれた。
「有難う」
彩子が妙に優しく感じた。
「最近、明るくなったね」
「そう、そんなことないよ」
「今日もデートだったんでしょ。よっぽど、いい男なのよね。明日、私にも紹介して」
彩子は嬉しそうに話しかけてきた。
「まだダメよ。またいつか紹介するわ」
千絵は困った顔をして、少し出し渋った。
「明日会わせてよ。ちょっとだけでいいから」
彩子は甘えた。
「じゃー、ちょっとだけよ。放課後会う約束しているから、そのときに紹介する」
彩子は諦めないと思ったので、千絵は渋々、応じた。
「やったー」
「でもすぐ帰ってね」
「判ってるわよ、邪魔はしないから」
そう言うと千絵は彩子が持ってきたヨーグルトを食べた。彩子が妙に優しかったのは、こういう事だったのかと思った。でも、千絵も少しは自慢したかったし、いつかは紹介しないと行けないと思っていたので、今回がいいチャンスかも知れないと思い、納得した。