8節・4P


「俺は千絵が好きだー」

 そのとき突然、松本は海に向かって大声で叫んだ。そのことに対して千絵は驚いたが、嬉しかった。松本は2人の距離を縮めるために、勇気を持って言ったので、照れた顔をしていた。

「お前も言ってみろよ」

 恥ずかしかったので千絵にも言うように促した。

「私もよー」

 暫く考え、大きい声で海に向かって叫んだ。2人はお互い照れくさそうにしていた。

 公園で暫く楽しむと、帰ることにした。車内では2人の間に幸せな甘い時間が流れていた。

「明日、放課後会ってくれないか?」

「いいですよ」

 千絵は嬉しそうに答えた。海に向かって大声に叫ぶことで2人の距離は縮まっていた。千絵は、これが夢に見た大学生活なんだと嬉しくなってきた。このとき今までの不幸な事は忘れ去っていて、約10年ぶりぐらいに小学生の頃の笑顔と、幸せが戻ってきていた。

「家までおくるよ」

「近くでいいですよ」

「どうせなんで、家までおくらせて」

 そう言うと、千絵は家の前まで車で送ってもらい、家の前で車を停めた。

「ここ?お前の家?金持ちなんだな!」

 松本は、大きな家にびっくりした。しかし千絵は言葉に詰まった。

「全然知らなかったよ。こんな家に住んでるなんて」

「有難うございました」

 千絵はそれには答えず、車を降りると松本に笑顔を見せ、礼を言った。松本も千絵の方を向き、幸せな笑顔を見せた。

 そして千絵が扉を閉めると、立っている横を車が発進した。車が発進すると、車の方に体を向け、車が見えなくなるまでずっと見送った。

 千絵は嬉しくて、ニコニコしていた。家に着いてもニコニコしていた。玄関を開けると、彩子はソファーに座っていて、目が合った。

「どこ行ってたの?」

 それに対しては千絵は答えず、玄関で靴を脱いでいた。

「デートでしょ?」

「当たり」

 千絵は嬉しそうに答えた。

「どんな人?カッコいい?今度会わせてよ」

「また今度紹介するよ」

 千絵は少し自慢したかったのだ。


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