8節・3P


 次の日曜日に2人はドライブを楽しんだ。松本は親から車を借りてきて、近くの駅で待ち合わせして、千絵と合流した。

「どこ行くんですか?」

 松本は運転をし、千絵は助手席に座っていた。

「淡路島行こうか?」

「あー、いいですね」

 車は須磨を越え、左側には山陽電車が走っていて、そのすぐ横は海だ。塩屋駅を過ぎた頃には右側を見れば、すぐ横は山になっていた。

「あー、海が見えてきた」

「もうすぐ明石海峡大橋や。橋を渡ると、もう淡路島やで」

「淡路まで近いのね」

 4km続く明石海峡大橋を通り抜けると、そのまま淡路の高速に繋がっていて、最初のインターチェンジで降りた。高速を降り、暫く車を走らせると、真っ白に輝くガラス張りの建物が見えてきて、そこのガレージに車を停めると中に入った。

「わー、おしゃれなレストラン」

 2人がテーブルに着くと、千絵は周りをキョロキョロした。建物の両側は、全てガラス張りになっていて、その窓からは海が見える。太陽が波をキラキラ光らせ、その光がレストランまで降り注いでいた。

 反対の窓からは、御影石で作られた長い崖があり、上から水が流れて滝を作っていた。

 建物の内装は、明るいオレンジで塗られていて、南ヨーロッパのようなイメージに作られている。

「まるでフランスかイタリアに来たみたい」

 2人は新鮮な魚介類が入り、トマトソースがたっぷりかかったスパゲティーを食べた。パンを食べながら、トマトソースのかかったスパゲティーを口に入れる。その中には手長エビやイカやあさりなどが入っていた。まだ出会って間がないので、2人の間には会話がない。2人は静かにトマトソースのスパゲティーを食べた。

 スパゲティーを食べ終わると、ウエイトレスがコーヒーを運んできてくれた。千絵はコーヒーをすすりながら言った。

「素敵な所ね。こんな所で住めたらないいな」

「ここで誰と住むの?」

「もちろん松本さんと」

 暫く考えた後、そう言うと千絵は恥ずかしくなって照れた。

 2人はレストランを出ると、北淡町の岬に立って海を眺めていた。そこは公園になっているが、人もあまりいない所だ。

「明石、あんなに近いのね」

 ここの公園からは対岸の明石や三宮などの建物がよく見えた。海の風を顔で受けながら、暫くいい雰囲気が流れた。


前ページ
次ページ

目次
粗筋(トップページ)

パソコン・トップページ