6節・4P
今日は彩子の18回目の誕生日だった。パパもママも揃っていて、みんなでテーブルに置いたケーキを囲っていた。千絵はここに来て誕生会を1回も祝って貰った事がないが、彩子は毎年、祝って貰っている。
「彩子,おめでとう」
パパが言うと、彩子はケーキのローソクを消した。
「18歳の誕生日おめでとう」
このとき、千絵は子供の頃の誕生日会を思い出していた。あのときと同じイチゴのケーキだった。
「あのころは幸せだったな。いつもニコニコしていて、全ての夢が叶い、世界一の幸せだと思っていた」
「今頃パパどこにいるのかな?もしかしたら、死んでいるのではないか?」
後藤家が盛り上がっている中、千絵だけは暗かった。
彩子はパパに貰った、綺麗なドレスを着て、家族の前で披露していた。
「パパ、似合う?」
彩子は、よく服を買って貰っているが、千絵は、あまり買って貰えない。本当の親ではないので、買って欲しいとも言えず、いつも古いのを着ていた。
「そう言えば私も10歳の誕生日の時に、服を買って貰ったな。パパとママと一緒に、幸せに過ごしていたときがあったな」
3人が盛り上がっている中で、千絵は昔の良かった思い出ばかりが思い出されてくる。
その日の夜もベットに入ると、布団を頭からかぶり、泣きながらパパのことを考えた。
「パパどこに行ったの。いつ会えるの」
パパの事は常に頭から離れる事がなかった。普通なら親を嫌う年頃なんだが、千絵にとっては唯一の身内だった。だから世間の女の子が、どうして父親を嫌うのか理解できなかった。