6節・2P
授業も終わり千絵は1人で、下を見て、とぼとぼと帰り道を歩いていた。空もどんより暗かったので、性格の暗さに拍車がかかった。
「私、大学受験できないわ。本当の親でもないのに、私の学費を出して貰うなんて、そんな事出来ないわ」
そう思うと、どんどん暗くなっていった。
「みんな楽しい大学生活をおくっているのに、自分だけはどうして、こう暗い人生をおくらないといけないのだろう。大学に行けばコンパなどして、彼氏も出来て、楽しい生活が送れるかもしれないのに」
想像だけが膨らむが、遠い夢の話しだった。
「パパが迎えに来てくれたら、私も大学行けるのに」
しかし暫く考えた後、訂正した。
「でもパパが戻ってきても、大学には行けないわ。パパは今頃、他人の借金で苦しんでいるのよ」
パパが戻ってきても暗い人生をおくらないと行けないのかと思うと自然と涙が出てきた。足取りも重く、とぼとぼと家に向かった。千絵の気持ちと比例し、空もどんどん暗くなってきて、下を向いて歩いていると、アスファルトの上を雨がポツポツ落ちるのが見えた。
「あ、傘持ってくるの忘れた」
そう気づくと、走り出していた。雨に濡れないように手を頭に載せて、走っていたが、段々雨が激しくなってきた。
「ゴロゴロ」
雷が鳴り響いた。
「怖い!」
また恐怖がぶり返してきた。少し行った所の電車の高架下で雨を避けた。そのとき閃光と共に雷が鳴った。閃光が走ったとき、あのときのパパの姿が鮮明に蘇ってきた。借金を肩代わりした日、黒いレインコートを着て、うつむき加減のパパの姿だ。
「怖い!」
家までの距離はまだ大分ある。千絵は異常に怯え、パパに貰ったペンダントを握りしめていた。その後は、脇目もふらずに、一目散に家に向かって走った。走っている間中、顔は必死の形相だった。
「早く帰らないと。早く帰らないと」
そればかりを呪文のように繰り返していた。このまま外に長い事居ると、何か悪い事が起こりそうで怖かった。もちろん手にはペンダントを強く握りしめていた。
家に着いたときには、息はあれ、髪は雨で濡れ、乱れ、顔にへばりついていた。顔は涙と雨で濡れ、服装はぐちょぐちょだった。玄関を開けると、ママが近づいてきた。
「びちょびちょじゃない!電話したら迎えに行ったのに」
その時、背後で雷が鳴った。千絵はママに思いっきり抱きついた。
「怖い」