5節・10P


 日曜日は待ちに待った遊園地に遊びに行く日。2人は始終、はしゃいでいた。あの日喧嘩をしたが、普段は本当は仲がいいのだ。2人は走り出したジェットコースターの一番前の席に座っていた。千絵も久しぶりに明るさを取り戻していた。

「きゃー」

 ジェットコースターが加速して走ると、風で髪が後ろになびいていた。2人はキャー、キャー言いながら、笑顔を見せていた。

 ジェットコースターが1周して戻ってくると、お互い見つめ合って、笑顔を見せた。

「ジェットコースター、楽しかったね」

 2人は最高の笑顔を見せた。千絵も久しぶりに笑顔を見せていた。根は明るい子なのだ。

「次はあれ乗ろう」

 彩子が言い、走り出すと、千絵も同じように走り出した。

「ちょっと待って」

 ママは後から必死に追っかけてきたが、2人にはママの声が耳に入ってなかった。2人は始終笑顔で、長い事、一緒に住んでいるので、歩き方、笑うタイミングなども同じで、姉妹のように似てきていた。

 彩子は売店でアメリカンドックを2本買うと、千絵の所まで持ってきた。

「千絵ちゃん、これ」

「ありがとう」

 この前の喧嘩の事を嘘のように忘れ去り、笑顔を見せた。母も2人の笑顔を見て、安心すると共に、幸せを感じていた。外は春の風が吹き、桜もちらほら咲いていた。2人とも、おしゃれな白の服を着て、気分は春だった。

「まだ、乗りたい物が一杯あるよ」

「私も一杯乗りたい」



 3人で観覧車に乗り、千絵と彩子は立って外を眺めていた。

「座りなさい」

 ママは高所恐怖症だったので、2人が歩いているだけで、怖かった。2人はそんなことお構いなしに、はしゃいでいた。

「千絵、海が見える」

「ほんと、綺麗」

「ママ、家どっちの方?」

「ちょっと静かにして、歩くと落ちるよ」

「大丈夫よ。ねー」

「ねー」

 2人は笑顔で見つめ合った。

 千絵にとって久しぶりの楽しい時間を過ごし、本当に久しぶりに楽しく思った。小学生の頃の明るさを取り戻し、嫌な事など全てを忘れる事が出来た。しかし楽しかったのも、このときだけだった。また暗い性格に戻ったのだ。


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