5節・9P


 千絵は夜、机に向かい勉強していた。小学生の頃アパートで勉強する癖が付き、友達も居ないし、豪邸暮らしですることもないので、勉強ばかりするようになった。だから成績も良かった。

「コンコン」

 部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はい!」

 ママが入って来た。

「さっきはご免ね。もう、遅いから寝て、また明日しなさい」

「はい」

 千絵はさっきのことは気にしてないように、明るく振る舞った。ママは優しく接してくれて嬉しい。しかし本当のママのようにうち解ける事が出来なかった。当然と言えば、当然なんだが、それが寂しく感じた。

 ママは千絵が気にしているんじゃないかと、気にしていた。ママが出て行き、勉強をやめて、ベットに入ると、遊園地に行く約束を思い出した。

「そう言えば、パパと最後に、ディズニーランドに行く約束したよね。借金で行けなくなったけど。その頃から歯車が狂いだして、私は不幸になっていったのね」

 嫌な事を思い出し憂鬱になった。

「今頃パパ、どこに行ったのかな。早く迎えに来てくれないかな」

 今生きているのが辛い。辛くなると、パパのことばかり考えてしまう。今日、彩子に「ママ死んだでしょ」と言われたことを思い出し、また泣けてきた。

「パパ、早く戻って来て」

 そう言うと、涙が溢れてきた。 


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