5節・6P


 布団の中に潜っていると眠ってしまっていた。30−40分程度眠ったのだろうか、雨はやみ、外は薄暗くなっていた。夕食までにはまだ早かったので、千絵は涙を拭きながら、気分を変えようとキッチンに紅茶を入れに行った。彩子は、出かけたきりまだ帰ってきてなかった。

 キッチンで、お湯を沸かしている間に、ティーパックを探すが、普段しないので、すぐに見つけることが出来なかった。

「あ、あった」

 やっと見つけることが出来、コップにそのティーパックを入れた。まだ目の下には涙が残っていた。その頃丁度お湯が沸いたので、お湯を入れながら、パパのことを思い出していた。パパは今頃、どうしているのかな。不安でならなかった。

「熱い!」

 キッチンから、千絵の叫び声が聞こえると、寝室にいたママは慌てて走り寄ってきた。

「どうしたの?」

 千絵は情けなそうな表情をして返事がなかった。ママが見ると千絵の足は赤く腫れ上がり、一部皮がむけていた。

「なにやってるの。早く病院に行かないと!」

 ママは慌てていたが、その間も千絵はボーと突っ立て居た。とりあえず応急処置として、足を水で冷やした。

「歩ける?」

「うん」

「車だすから、外で待っていて」

 千絵は悲しかった。やけどした部分がひりひり痛む。しかし悲しかったのは、そんな事ではなかった。自分の不運の連続の人生、思い通りに行かない人生に対して悲しくなっていた。そして悩み暗くなるから、また更なる悲劇を呼ぶことになるが、そのことには気づいてなかった。

「こんな自分なんか死ねばいいのよ」

 いつの頃からか自分を卑下するようになっていた。10歳を過ぎてからは、何一ついい事はない。逆に悪い事ばかりの人生。悲しくなって、死のうと考えた事は何度もある。しかしいつかパパが迎えに来てくれると、それだけを希望に耐えていたのだ。

 千絵が病院に行き、帰ってきた頃に彩子も帰ってきた。

「ただいま。えー、どうしたの」

 千絵が足に包帯が巻かれているのを見て、ビックリした。

「やけどしたのよ!」

 ママは情けなそうな表情をして、彩子の方を見た。

「大丈夫?」

 彩子は心配そうにしたが、千絵は自分が情けなく、暗く、うつむいていた。


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