4節・4P
2人が招かれた部屋は8畳ほどの広さで、キングベットが1つ置いてあった。ふかふかのベットを見て、千絵は喜んだ。
「こんなベット初めて」
「ここ2人で使って頂戴」
「えー、ここで寝ていいんですか?」
「いいのよ。ごゆっくりどうぞ」
ママは笑い、部屋を出て行った。
「パパ、やったー」
千絵は満面の笑みを浮かべ、ベットで飛び跳ねた。
「やめなさい」
「捨てる神がいれば、拾う神もいるのね」
「でもいつまでも、ここでお世話になれないぞ」
しかし千絵は気にせず、明るかった。暫くすると、千絵は嬉しそうに言った。
「私、隣の部屋行ってみる」
そして隣の部屋をノックした。豪華な料理、広い家に居る事など千絵にとっては新しいことだらけで、ワクワクしどうしだった。
「どうぞ」
千絵は彩子の部屋に入り興味津々だ。目に付くもの、全てが面白い。
「こんな広い家に住めていいね」
「生まれたときから、ここに住んでいるから判らない」
千絵の興奮とは裏腹に、彩子はあっけらかんと言った。
「わー、ぬいぐるみが沢山ある。いいな」
「1つ上げるよ」
「えー、いいの?!」
千絵は目を輝かせた。そしてクローゼットに20着くらいの服が架かっているのが目に入った。
「服も沢山あるのね。羨ましいな。私も、こういう家で住みたいな」
「一緒に住もうよ。これからもずっと」
大人の事情など分からない、素直な子供の気持ちだった。
「えっ!」
「私、一人っ子なので寂しかったのよ。だから兄弟が欲しかったの」
「一緒に住めたら、どんなに楽しいか。わー、夢のようだわ」
千絵は信じれない言葉に、目を輝かせていた。
「私、後でパパに言っとくよ。千絵ちゃんと、いつまでも一緒に住めるようにって」
千絵はママを失い、マンションを失ったが、何か得る物を、ずっしり感じる事が出来た。