4節・3P
「有難うございます」
「どうぞ食べて下さい」
「頂きます。こんなご馳走食べれるなんて、夢のよう」
千絵は喜んで、がつがつ食べ始めた。
「ゆっくり食べなさい」
パパは遠慮しない娘に恐縮し、叱った。
「いいんですよ、好きなだけ食べて下さい。まだおかわりありますから」
娘はパパと居るとき食べれなくてもいいと言っていたが、本当はすごくお腹が空いていたのだ。千絵が、がつがつ食べる姿を見て、パパはこの年で気を遣ってくれていた娘に対して、涙が出そうになった。
「千絵ちゃんも大変だったね。いろいろな事が重なって」
千絵は思い出すと悲しくなるので、パパの前で悲しそうにするのを控えた。
「私、パパがいるから大丈夫」
そう言って元気にパパを励ました。このときはパパは千絵の方が大人に感じた。
「ごちそうさま」
千絵は、お腹が空いていたので猛スピードで料理を食べた。そしてすごく満足した顔を見せた。
「あなた何歳?」
彩子が聞いた。
「11歳」
「あ!私と同じ年だ。後で私の部屋に来ない、一緒に遊ぼ」
「いいの?!」
千絵は目を輝かせて喜んだが、家も大きく、11歳だと言うのに、自分の部屋があるのが羨ましかった。
「娘の隣の部屋が空いているから、今日はそこで寝て頂戴」
「有難うございます」
後藤家のママの発言に、パパは恐縮しどうしだ。その後、ママに連れられて、パパと千絵は2階に上がった。
さっきまでいた20畳くらいあるリビング、ダイニングは吹き抜けになっていて、2階の廊下からはよく見えた。2階には4つの部屋が縦に並んでいて、階段は両端に付いている。その両端の階段を結ぶように廊下が繋がり、4つの部屋の扉が並んでいる。その一番玄関よりの部屋に招いてくれた。
隣の部屋が彩子の部屋になっていて、後の2つは誰も使っていない。4つの部屋の下には16畳の和室が2部屋あり、片方は夫婦の寝室になっていて、1部屋は空いている。部屋数は多いが、半分は客間として利用し、普段は使われてない。