4節・2P
家族3人の後に付いて家の中に入った。玄関を開けると、そこは20畳くらいある部屋で、手前がリビング、奥がダイニングになっている。更にその奥は仕切られていて、キッチンがあった。信じられない広さにパパと千絵は息をのんだ。
手前には大きなテレビ、革張りのソファーが置かれていて、絨毯は高級そうなのが敷かれ、天井には豪華なシャンデリアがぶら下がっていた。
「わー、綺麗な家」
千絵は、こんな家に上がれる事が嬉しかった。しかしパパは自分との境遇の違いに悲しくなってきた。
この屋敷の主人の名前は後藤和也で53歳。ママは後藤陽子で50歳。娘は千絵と同じ年で彩子だ。
5人はソファーに座った。玄関から向かって左側に後藤家の3人、右側に館林家の2人が座った。革張りのしっかりしたソファーは大きく3人が座っても、まだゆったりしていた。真ん中にテーブルを挟んで、館林家の事情を聞くことになった。パパは今までの事情を、包み隠さず説明した。借金を背負い、マンションを売り、ママが死んで、アパートを出た事、昨日は公園で寝た事を話しした。
「そんな、ご苦労があったんですか!」
和也はそんな苦労をした人が世の中に居る事を知り驚愕した。
「大変だったんですね。泊まる所無いんでしょ。暫くここで暮らしたらどうですか?」
「有難うございます」
パパは、こんな親切な人が世の中にいるのかと思い泣き出し、ソファーをおり土下座をし、頭を床につけお礼を言った。それは心の底から出たものだった。
「頭を上げて下さい」
後藤和也は、そこまでしてくれたことに恐縮した。
「今日、泊まる所が無かったんです。今日どころか明日も、明後日もありません。こんな親切にして貰えるとは思っても居なかったです。私たちは警察に通報されても仕方ないことをしたのに、それをこんなにも親切にして下さって有難うございます」
「そんなことよりも、お腹空いてるんでしょ。さっきお腹なってたから」
そう言われて、パパは恥ずかしそうな顔をした。
「こちらのテーブルに、どうぞ」
ダイニングテーブルも立派なものだった。後藤家のママは、豪華な食事をお盆に載せて運んできて、テーブルに置いた。
「さー、食べて下さい」
「わー、美味しそう」
千絵は目を輝かせて、喜んだ。そのときお腹が鳴り、恥ずかしそうにした。無邪気に喜んでいる娘とは裏腹に、パパは恐縮しきっていた。