3節・6P


 パパと娘は、ママが死んだ日、カビくさい家を引き払った。大した荷物もないので、着の身着のままと言った感じで出てきた。この家で、このまま暮らしていると、また犠牲者が出るかもしれない、千絵を殺すわけにはいかない。そう思ったからだ。でも行く当てはなかった。

 千絵はママとの別れの時に、涙が出ききったのか、今はもう泣いてない。涙と共に気力も失い、何も考えることが出来なく脳は空っぽで、魂の抜け殻のように、パパの後を付いて歩いていた。

「どうして神様は私たちを、こんなに苦しめるの?」

 千絵がボソッと言った言葉に、パパは答えることが出来なかった。

「マンションをなくして、アパートも出て、ママまでいなくなって、これからどう生きていったらいいの?」

 全ての始まりは保証人になったことだ。パパは責任を感じていた。2人は夜道を歩き、歩き疲れた先に公園を見かけたので中に入っていった。

「今日は、ここで寝よう」

 千絵は何も返事が出来なかった。ただ黙ってパパの後を付いていくだけだ。公園内にある石で作られた車のオブジェの中に入り、座った。

 千絵は押し黙り、いつもは明るいのに、静かに座っていた。千絵にとってママの死は、相当ショックだった。放心状態のままで、脳の思考は止まり、考えることをやめていた。ママの死を意識してなかったために夢なのか現実なのかも判らなくなっている。まだ夢を見ているような感じで、信じたくなかった。

 この日は、まだ温かく、寝ころぶと、星が見えた。

「ママは、どの星になったのかな?」

 千絵の言葉に、パパは横で静かにしていた。ひときわ光る星を見て、あれがママになったのではないかと思えた。

「今日ここで寝て、明日目が覚めるかな。もし明日目が覚めなかったら、そしたら、私はどの星になるのかな?」

 そう思うと悲しくなってきた。このまま死んでママと会えるのも幸せかなとも思えた。

「そんなことを言うなよ」

 パパはキツく言った。そして千絵に元気を出さすように、言葉を続けた。

「明日、日曜日だから、どこかに遊びに行こう」

「そう言う気分にもなれない」

 千絵は静かに言った。

「三宮にショッピングに行こう。お金無いから買ってあげれないけど、ウインドショッピングしよう」

「うん、ここに居てもしょうがないから、行こうか」


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