3節・2P
ママは数時間後、病院のベットで意識を取り戻した。ベットの脇では千絵が笑顔になった。
「ママ死ぬんじゃないかと、私心配したわ?」
「馬鹿ね、ママ、こんなに元気よ。たいしたこと無いみたい、すぐに退院できるから」
千絵はホッとしたのか涙を流した。それを見ていたママは千絵の小さい体を抱きしめた。
「千絵ちゃんが、ママを助けてくれたのね」
側でお世話をしている看護婦が笑顔で、そう言うと、千絵は誇らしげに喜んでいた。
「あのとき千絵が居なければ、ママは死んでいたかもしれないわ」
「嫌、そんなこと言わないで。家まで取られて、ママも死んだら、私どうして生きていったらいいか判らないわ」
ママと看護婦は側で笑っていた。
そのときパパは医者に呼ばれていた。医者はレントゲンを見ながら、深刻そうな顔をしていた。
「これを見て下さい」
レントゲン写真を見ながら医者が言った。
「これは肺に繁殖したカビです」
「カビ?そう言えば、あの安アパートカビくさかったな」
「申し上げにくいのですが、もう手遅れです」
「どういう事ですか?」
「もって3ヶ月です」
パパは驚きのあまり目を見開いた。
「助からないんですか?」
「薬でなんとかやってみますが、それで効果があるかは判りません」
「絶対、死ぬという事ではないんですね」
それに対して医者はうなずかなかった。その後冷静に言った。
「もう少し早かったら助かっていたかもしれません。かなり前から、症状があったと思われますが、気づきませんでしたか?」