1節・7P
映画を見終わると、レストランで夕食をとった。フランス料理の店でスープを飲みながら、千絵が言った。
「今日の映画面白かった。貧しかった人が、虐めに遭い、苦しい人生送っていたけど、最後は成功するなんていいわ。でもママが死んで、パパと会わなくなるは悲しい。私なら耐えれないと思う」
「パパは、お前が苦しい人生など歩まず、幸せに暮らしてくれる事だけを望む」
「でも、映画のような逆境に耐えるのも楽しいかもしれないわ。私が貧乏に生まれようが、虐められようが、そんな事は気にしないわ。絶対頑張って成功すると思うの」
「親は子供の幸せを願うものよ。自分が犠牲になっても、子供に幸せになって欲しいのよ」
ママが仲に入った。
「私は今が最高に幸せだから、関係ないけどね」
千絵は満面の笑顔で言うと、パパとママは笑った。
メインディッシュのステーキが運ばれてきた。千絵は不器用にナイフでステーキを切ると、大きく切りすぎたステーキを口に入れるために、大きな口を開け、肉汁をテーブルに垂らしながら、ナイフで口に押し込んだ。そして嬉しそうに、口をもぐもぐさせた。
「こんな美味しい物が食べれるなんて幸せよ。でも映画みたいに、いつか罰が当たるかもしれないわ」
そう言うと3人で笑った。しかしこれから起こる不幸を千絵どころか、パパやママさえも判るはずはなかった。まるでこの映画をジで行くかのように、地獄へ落ちていったのだ。
「次の土日、ディズニーランドに行こう」
千絵の嬉しそうな笑顔を見ながら、パパが言った。
「えー、いいの。やったー」
千絵は驚いた。2,3年前から言っていて、未だに実現しなかったのが、もうすぐ実現するのが嬉しかった。
「本当に、本当にいいの!」
「行きたいって言ってただろ」
「でも本当にいいの!」
千絵は信じられないと言った感じだった。
「パパも、仕事の切りが付いて、今度の連休休めそうだから」
「えー本当。夢見ているようだ。こんなプレゼント貰って、ディズニーランドに行けて、欲しい物は全て手に入ったみたい。私は世界一の幸せよ」
しかし千絵の喜びとは裏腹に、この夢が叶う事はなかったのだ。