1節・6P
棺が土に埋められる横で、娘の心の中は空洞になっていた。屋根裏で思っていた願いは、あっさり消えてしまい、これからどうやって生きたらいいのかと言う指針を見失っていた。棺が埋められているのをボーと見ながら、脳は考えることをやめた。
数日はお父さんと2人で暮らしたが、また養父の元に戻された。生きる指針を失った娘の心は空洞になっていて、前のように一生懸命に働かなくなった。
「何ぐずぐずしてるんだよ」
働かなくなった娘に養母はキレ、娘を蹴った。娘は力無く、前のめりに倒れた。そのまま立ち上がることも忘れ、涙を流すことも忘れていた。
「この子はしょうがないわね」
養母が娘を片手で持ち上げ、立たせたが、娘の目は焦点を失っていた。それだけ、お母さんの死がショックだったのだ。怒られようが、蹴られようが、そんな事大したことではなかった。屋根裏部屋で1人になると、毎晩、泣いていた。
「お母さん、私を1人残して、私は、これからどうやって生きていったらいいの?」
10歳の子供にとっては、辛い試練だった。そして、たまにお父さんと会うこともあったが、次第に会う間隔も空いて、そして会わなくなった。22歳の時に結婚に出されるまでは、養父と養母と一緒に暮らし、ひどい仕打ちを受け、すっかり暗い性格になり、ほとんど喋ることもなくなった。
結婚するときには、お父さんのことも、養父、養母の事も忘れ、その後会うこともなかった。
しかし夫の事業が成功し、娘は裕福な生活を手に入れた。お金も、どんどん入って来て、そして成功を手に入れることが出来たのだ。