1節・4P


 8月3日、パパは買ってきたイチゴのケーキの上に10本のローソクに立て、それに火を付けた。

「千絵、10歳の誕生日おめでとう」

「有難う。わー、美味しそう」

「早く火を消せよ」

 パパにそう言われると、千絵は口を大きく膨らませて、一気に火を吹き消した。その後、ママはケーキをナイフで小さく切り分け、それぞれを皿に載せた。千絵はホークでケーキを切り、ホークに突き刺すと、口に入れた。

「あー、美味しい。残り全部1人で食べてもいい?」

 千絵は口に生クリームを付けながら、嬉しそうに言った。

「いいぞ。全部千絵の分だからな」

 千絵は口にケーキを頬張り、夢中になって食べた。

「ママ、おかわり」

 一気に口の中に入れ、そう言うと皿をママの方に突き出した。ママは、その上に切り分けたケーキを載せた。

「あー、そうそう。プレゼント忘れていたよ」

 そう言うとパパは袋を千絵に持ってきた。

「何、これ?」

「開けてみろよ」

 袋を開けると、ピンクのワンピースが入っていた。

「あー、可愛い。着てもいい」

 千絵はその場でワンピースを着てみた。

「似合う、パパ。明日学校に、これ着ていく。パパもママも大好き。私、幸せ」

 千絵は幸せな家族に恵まれ、幸せな人生を送っていた。そして幸せな人生が、このまま永遠に続くかのように思われていた。


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