TOP > 小説 > 夏の思い出

25

 

 さっき雨が降ったせいか、少し涼しくなっていた。僕とまことは、のりとけんを迎える為に、食事も風呂も済ませ、準備万端にしていた。

 のりとけんが来たのは9時過ぎだった。

「今日は、徹夜するぞ」

 そう言いながら盛り上がり、2階の24畳の部屋は修学旅行ムードになった。僕以外は人の家で寝た事が無いので、こういう環境になると、みんなウキウキしていた。寝るどころか、どんどん目が冴えてきた。

 

「まずは、腹ごしらえ」

 まことがそう言うと、お湯の入ったカップラーメンを持ってきた。いい匂いが部屋の中に充満し、その匂いを嗅いでいるとお腹が空いてきた。3分が過ぎると、4人は一斉に蓋を開けて、急いで麺をすすった。

「うまい」

 今まで、こんな時間に人の家に行くこともなかったし、こんな時間にカップラーメンを食べることもなかったので、ラーメンを食べるだけで心が弾んでいた。

「井上も居れば良かったのにな」

 僕が言った。僕は、最近、井上の事ばかり考えてしまう。

「うん。居れば、もっと楽しめるのにな」

 けんがそう言うと、またラーメンをすすった。その後は無言で、一心不乱で食べた。

「うまかった」

 スープを飲み干すと、僕は言った。

 

 ラーメンを食べ終わると、テーブルをどけ、広い部屋に4つの布団を部屋の中央に向けて敷き、4人は中央に頭を寄せ合った。

「何の話する?」

「そうだな」

「怖い話しようか?」

 のりが提案した。

「何か怖い話し知っているのか?」

 僕が聞くと、のりは怪談話をしゃべり出した。

「ある日、お母さんと、男の子が墓に行くと、男が何か掘っていたんだ。隠れて見ていると、そこに死体を埋めたんだ」

「きゃ〜」

 けんが悲鳴を上げた。

「それから、どうなったの?」

 好奇心旺盛な僕は聞いた。

「お母さんと、子供は見ては行けない物を見てしまった事にぶるぶる震えながら、家に帰ったんだ。その日の夜、雷が鳴って、お母さんと、男の子が2人で家にいると、ドアをガタガタする音がしたんだ。怖々に2階の窓を少し空けて見ていると、昼間、墓で見た男がドアを叩いてたんだ。どうして家が判ったんだろうと思っていると、そのときドアの鍵が潰れて、男が家の中に入って来たんだ」

 そこまで喋るとけんは耳を手で覆った。

「男は上がって来ると、お母さんは僕を押入に隠し、家の中を逃げ回ったんだけど、とうとう男に捕まって首を絞められたんだ。男の子は押入の中の布団の中に隠れ、お母さんの逃げまどう音、叫び声を聞きながら、ぶるぶる震えていたんだ。幸い男は、その子には気づかなかったんだ。静かになった所で、男の子は、こっそりドアを開けたんだ」

 のりは、その先を喋るのをじらした。

「それから、どうしたんだ?」

 早く先を聞きたいまことが、言った。

「そうすると男の顔が見えたんだ。男の顔は、焼けただれていたんだ。どろどろに溶けて、化け物のような顔をしていたんだ」

「きゃ〜」

「お母さんは、どうなったんだ?」

「男が帰ると、男の子は急いでお母さんの所に行ったんだ。するとお母さんは怪物の餌食になっていて、内蔵だけを食べられていたんだ」

「きゃ〜」

 3人は布団をかぶった。でも好奇心旺盛な僕とまことはすぐに頭を出した。けんだけは、布団をかぶったままだった。

「他には、何か無いのか?」

「子供がお盆休みに、おばあさんの家に行ったんだ」

 のりはしゃべり出した。けんは布団をかぶったままだった。

「その、おばあさんは少し記憶力が悪いのか、たけし君の事を、いつもただし君と呼ぶんだ。男の子がいくら言っても、ただし君て呼ぶんだ。でもおばあさんは痴呆(ちほう)って言う病気で、時々おかしいことをするんだ。夕食を食べたのに、食べてないと言い、夕食を2度食べたり、ときどき土壁を食べることもあるんだ。ある夜、男の子は暑苦しくって、寝れないときがあったんだ」

 2人は黙ってのりの話を聞いていた。

「するとおばあさんが、何処かに出かけるんだ。男の子は、こんな真っ暗闇の夜中に怖いけど、何処に行くのか気になって付けていったんだ。すると真っ暗な神社に入っていったんだ。おばあさんが行った先の木には、わら人形が打ち付けられて居て、一緒に住んでいる嫁の名前を何度も呼びながら、釘を打ち付けるんだ」

「きゃ〜」

 僕は叫んだ。

「それからどうなったの?」

 その先が早く聞きたかった。

「それからすぐに嫁は死んだそうだ。それでおばあさんの痴呆って言うのも嘘で、頭が悪いふりをしていたんだ」

 僕は頭から布団をかぶった。隣ではけんは、既に寝ていた。そして僕も知らない間に寝てしまっていたんだ。

 

 僕は明け方、変な夢を見ていた。昨日の夜、怖い話しをしたからだ。僕は山火事に遭い、どんどん逃げていた。それも上へ上へと逃げていったんだ。走り疲れても、火が追っかけてくるから逃げるしかない。息を荒げ、もう無理と思いながらも火が追いかけてくるので、逃げるしかないんだ。そして山の頂上まで来て、もう逃げ場を失ってしまった。

「もう、だめだ」

 僕は焼け死ぬことを想像して怖くなった。

 そのとき目を覚ました。僕はタップリの寝汗を掻いていた。そして下も汗を掻いていたのか、布団はびっしょり濡れていた。

「やばい、やってしまった。昨日、怪談なんかするからだ」

 久しぶりの寝小便に後悔した。僕は辺りをキョロキョロさせながら、気づかれてないか見ると、3人はぐっすり眠っていたので安心した。その布団をどうしようか悩んだあげく、庭にまで持っていき、何とか乾かそうとした。僕の頭の中ではばれないつもりだったが、朝みんなが起きると簡単にばれてしまった。みんなが起きると「寝小便」と笑われ、僕は恥ずかしくなった。何で寄りにも寄って、みんながいる日に寝小便をしてしまったのか。自分の不甲斐なさに落ち込んだ。でも、楽しい夏休みがすぐに嫌な思い出を忘れさせてくれた。 

激安ドリンク、箱買い、まとめ買い(コーヒー、紅茶、炭酸、スポーツドリンク、ジュース、水、酢、栄養ドリンク)
 1缶50〜80円くらいの激安ドリンクを始め、安い商品が多数あります。破損時の返品代引き決算(着払い)もありますので、安心してご利用ください。休日、買い物に行く時間も省け、重い物を運ばなくても、家まで持ってきてくれるのも、嬉しいですよね。


26へつづく