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14

 

 暫く歩くと川に着いた。川幅1mくらいで、底が見えるくらいに浅く、ゆっくりとした水が流れている。河原は広く、周りは木々で覆われて涼しかった。川の先を目で追っていくと、3mくらいの滝があり、その滝の下には滝壺があった。

 滝は勢いよく流れ、ゴーと流れる水の音が周りに響いていて、周りに水しぶきをまき散らしていた。

 4人は河原に座ると、同じ方を向いて、糸を垂らした。まことから借りた竿は簡単な作りで、細い竹の先から糸がたれ、針が付いただけの物だ。だから借りた竿を見たとき、少し吹き出した。まるでトムソーヤの冒険の世界だったからだ。そしてトムソーヤの冒険を思い出して、少しワクワクしてきた。海釣りではないので糸もそんなに長くする必要ないから、リールも必要なかった。こんな簡単な釣り竿でも結構、事足りたのだ。

 糸の先には家から持ってきたパンやするめを刺した。

「よし釣るぞ」

 僕は意気込んだ。ここで居ると暑くもなく、涼しい風が吹き、気持ちよかった。

「普段、朝は何しているの?」

 のりが僕に話しかけてきた。

「いつもはラジオ体操行って、朝食食べたら、プールに行ってる」

「あっ、僕も行きたいな?」

 のりはけんの方に向いた。

「うん、行きたい」

 けんも頷いた。

「それなら、今度、一緒に行こうよ」

 まことが喋りかけた。

「うん、大勢で行った方が面白いし、大体毎日行ってるから、家まで来てくれたら一緒に行けるよ」

 4人は楽しそうな表情を浮かべた。

 

 意気込んだ割には1時間経っても、なかなか釣れない。もし釣れたら今晩のおかずにでもなるのだがと、想像していた。しかし釣れないと、段々飽きて来る。飽きてくると、さっきまで忘れていた、女の子の事が思い出されてきた。

「かわいかったな〜」

 そう思うと会いたくてしょうがないと言う衝動に駆られてきた。でも、この気持ちを周りの友達に感づかれるのが恥ずかしかった。しかし、すぐに見透かされてしまった。

 ボーとしている様子でけんに見透かされたのだ。

「さっきの子の事、好きになったのか?」

 けんはからかった。

「そんなことないよ?」

 僕は好きになったことを見透かされたと思ったので、焦って否定した。

「今度、会いに行こうか?」

「え!」

 僕は焦った。

「こいつ、やっぱり好きなんだよ」

 けんは、そう言いながらも自分も、あの女の子の事が好きだったのだ。「会いに行こうか?」そう言いながらも、自分から会いに行く度胸など無かった。けんだけではなく、あの女の子は学校の人気者だったので、まことものりも好きだったのだ。3年生になって学校に来なくなって、みんながっかりしていたのだ。学校に来ないので、会いたくなった男の子は、ドキドキしながら家の前を何度も通ったりするくらいで、それ以上インターホンを押したりするなどの度胸はなかった。

 僕はそんな事を知らなかったので、自分だけが好きだと思い、周りの子に気づかれて、からかわれるのを避けたかった。しかし僕の心臓のドキドキは止まらなかった。もう釣りどころではなかったのだ。隠そうとするから、よけいに緊張してくる。目の前をトンボが飛んでいる情緒的な風景にも気にも留めず、心臓は高鳴っていた。

 そのときまことは飽きてきたのか、滝壺の方に歩き出した。滝壺の水は深い所で1mくらいだ。3mくらいの高さから勢いよく水が落ちてきて、激しく滝壺の水を叩いていた。近づいただけでも冷たい水しぶきを感じる。

 それを見ていた僕も、釣り竿を置くと滝壺に向かった。まことは服のまま既に水の中に入っていたので、僕も服のまま水に入った。水は綺麗で、冷たかった。

「つめた〜い」

 山から流れてきた水はひんやりしていた。僕が滝壺に入っていくと、まことは僕目掛けて水を掛けた。それに負けじと、僕もまことに水を掛け、そのはしゃぎ声が森に響いた。

 それに触発されたのか、のりとけんも釣りをやめて、滝壺に入って来た。

「つめた〜い」

 みんな始めは、そう言った。予想以上に冷たかったのだ。4人はお互いに水を掛け合いながら、はしゃぎ回った。僕は滝の下まで行くと、修行僧のように滝に打たれた。激しく叩く滝の水は頭に当たり痛かったので、すぐにやめた。その後、みんなで泳いだり、潜ったりして遊んだ。魚の方の収穫は0だったが、4人はこっちのほうに夢中になった。そして夕方になったので、帰る事にした。

 

 4人は元来た畦道をトボトボ歩いて帰っていった。女の子の家の前を通ったとき、女の子が覗いてないか見たが、窓が閉まっていた。その後、ヒグラシが寂しそうに鳴いているように聞こえた。 

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15へつづく