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 神戸の歴史は古く、太古の昔から発展してきた町であり、明治の頃より外国人との交流が始まり、新しい変化を与え、そのころから計算して100年以上になるが、今でも成長を続けている。成長をやめた都市は衰退してしまうが、神戸は今でも発展し続けている。

 新しい物がドンドン出来ていく一方で、古くなった物は取り壊され新しくなり、その反面昔のいい物は残しつつも、それをリフォームしてカフェ、レストラン、ショップにしたりと新しい地域と、古き良き時代を残しつつ発展し、異文化とも共存しているのが神戸だ。

 神戸は、おしゃれな街としても有名だが、神戸の中心地三宮は、おしゃれなカフェ、レストランや、さまざまな外国料理の店、ブティックなどが多く建ち並ぶ所だ。

 更に異人館、センター街、旧居留地、メリケンパーク、ハーバーランド、ポートアイランド、六甲アイランドと、それぞれ特有の顔を見せている。

 

 香代は目を覚ますと、時計の針は11時を指していた。布団から出ると、白地に細かい模様が沢山描かれているパジャマを着ていた。肌寒さを感じ、上にカーデガンを羽織り、時計に付いている温度計を見ると、1度だった。

 大学も休みなので毎日、昼前まで寝ていた。今日はクリスマスなのにデートする人もいず、1人寂しく過ごすしかなかった。

 今は大学1年生で実家も神戸だが、大学になってからはJR三ノ宮駅の北、異人館の近くの北野町に家を借り、独り暮らしをしている。三ノ宮駅からは女の子の足で15分くらいかかる位置だ。駅からまっすぐ北に上がり、坂が続き、最初は上るのがつらかったが、今は慣れた。

 北野の家は5軒つらなった平屋木造のアパートで5年前にリフォームし、昔の雰囲気を残したレトロ感のある家だ。外観は長細い板を張り合わせて作られていて、全体を青で塗られている。路地を入った所にある北側に面している玄関は朝、日当たりがよくない。

 部屋の中はシンプルで玄関の横が風呂とトイレで、奥は6畳二間になっている。しかし間の仕切は取っ払われているので、ワンルームみたいなものだ。奥の部屋にはキッチンがついている。床の木は隙間を空けて敷かれていて、部屋の中も外も木は全て落ち着いた青で塗られていた。昔の作りの為、隙間も多く、部屋の中は直ぐに冷えてしまう。

「さむ〜」

 そう言いながら体を手でさすり、足と足を擦り合わせ靴下を穿いてないことに気づき、慌てて靴下を穿いた。今日はいつも以上に寒かった。外がどうなっているのか気になって南に向いているガラス窓に掛かっているオレンジ色のカーテンを開けた。南側は、5軒分連なった庭になっていて、そこで洗濯を干したり、夏は涼めたりも出来る。

 坂を上った所にあるので、庭からは神戸の景色が見え、夜は綺麗だ。庭の地面は芝に覆われて緑のはずなのに、今日は真っ白になっていた。そこら中が真っ白で、眼下に見える神戸の風景も、いつもと違って真っ白になっていた。

 その風景を見た香代は目をぱちくりさせながら、嬉しそうに笑顔を見せた。

「今まで神戸にずっと住んでいたけど、こんなに雪積もったの初めて」

 暫く、ガラス越しに見た後、ガラス窓を開け、庭に飛び出した。窓を開けた瞬間、ひんやりした冷気が部屋の中に入ってきた。しかし香代の目は雪を凝視していて、寒いことをすっかり忘れていた。

「わ〜。綺麗」

 嬉しそうに、はしゃいだ。パジャマにカーデガンを羽織り、つっかけを履いただけの姿なのに寒さを忘れて、真っ白になった神戸の風景を眺めた。道路も屋根も全て雪が積もり、真っ白になっていた。5分くらい、ジーッと眼下を見ていると、家でジーとしているのがもったいなくなり、久しぶりにカフェにでも行ってモーニングが食べたくなった。

 急いで布団を畳み、押入に仕舞うと、155cmの身長にジーパンを穿き、白のセーターの上にはピンクのダウンジャケットを着た。更に白のニット帽をかぶり、白のニットのマフラーを首に巻き、白のニットの手袋をはめ、寒さに万全の準備をした。ニット帽でおでこまで覆い、耳も隠すと、パッチリした目だけが露出した。そして靴を履くと玄関を跳ねるようにして飛び出していった。

 

 玄関を出た所の路地は真っ白で人の歩いた形跡もなく、日も当たらないので、全然雪は溶けてなかった。雪の厚みは1cmくらいだが、靴で雪を踏む感触が楽しかった。

 車の通る道まで出ると、車が何度も通ったのか雪は無かった。しかしこの辺は、普段人通りも少なく、車もそんなに通らず、静かだ。異人館を見に来る観光客も、駅から北野坂を真っ直ぐ上がり、もう少し上を目指す為、人ともそんなに出会わず、午前中などは寂しい感じがする。今日は雪が降った事もあり、更に静けさを増し,シーンとしていた。

 香代は雪が積もった事が嬉しく、いつもとは違った景色を見ながら歩いた。背中を丸め、ゆっくり雪を踏み、楽しみながら歩いた。身長が155cmと小柄なので、コロコロ転がっているようにも見える。

 

 香代の顔は丸顔だ。アゴの先は尖りながらも、アゴ全体は丸みを帯び、優しい曲線を描いている。目はパッチリしていて、くりくりさせたり、輝かせたりと豊かに変化させる。鼻はすっと真っ直ぐで、高くもなく低くもなく、ふっくらした優しいほっぺたをしている。上下同じ厚さの、形のいい小さい唇をしていて、小さい口を開けると、数本の小さい前歯が唇の間から見える。前髪はまつげまで伸ばし、綺麗なストレートの黒髪は背中まで届いていた。

 

 香代が店に入ろうとカフェのドアの前に立ったとき、店のドアが勝手に開き、開いたドアで頭をぶつけて倒れた。雪が固まり氷になった所で足を滑らせ、尻を付いてひっくり返った。

「いた〜」

 痛さで尻がしびれ、直ぐに立ち上がることが出来なかった。しかし次の瞬間、ひっくり返ったことに恥ずかしくなり、周りをキョロキョロした後、誰も見られてないことを確認すると、舌を出して、照れ笑いをした。

「大丈夫ですか?」

 顔を上げると、男が近づいてきて、手を差し伸べた。見られていた事に気づくと恥ずかしくなり固まった。さっきドアが開いたのは、偶然にも男が出てくるのと、香代が入ろうとするタイミングが合ったからだった。しかし男の見つめる目に、香代は目が合い衝撃が走った。見つめられた目を離すことが出来ないくらいの衝撃だ。見つめ合った目は暫く離すことが出来ず、ほっぺたが次第に赤くなっていった。男の差し出す手に香代は自然に手を載せていて、男が優しく引き寄せられるまま、香代はそれに身を任せ、ゆっくり立ち上がった。ジーパンのお尻の部分には雪が付いていたが、立ち上がっても香代は男の目を見つめて、ボーっとしていた。暫くして我に返り、恥ずかしそうにすると、慌ててお尻の雪を手で払いのけた。

「ごめんなさい」

 男は申し訳なさそうにしていると、

「あ、いいえ」

 香代は下を向いて、恥ずかしそうにしていた。

「あー、ズボン濡れましたね」

「いえ、大丈夫です」

 香代は恥ずかしさで、男の顔を見ることが出来なくなっていた。

「お詫びにランチご馳走させて下さい」

「・・・」

 香代は真っ赤になった。

 

 男は身長175cm、体重60kgと細く、顔のラインも細い。髪はおでこを覆い、目は大きく、唇も大きめだった。黒の革ジャンに、アンゴラのマフラーをし、ジーパンを穿いていた。

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2へつづく